暖房をつけても足元が冷える。窓の結露を毎朝拭いている。新潟で断熱リフォームのご相談をいただくと、「家が古いから、寒いのは仕方ない」という言葉をよく耳にします。けれど寒さの原因は、築年数そのものではなく、熱が逃げている場所にあります。

この記事では、新潟の冬の条件と国の基準を確かめたうえで、寒さの出どころの見つけ方、手をつける順番、工事の規模の選び方、古い木造住宅で見落としやすい点を、見附市に本社を置く施工会社の視点でまとめました。見附市にお住まいの方向けの話は「見附市の断熱リフォーム」の記事にあります。

この記事の要点

  • 新潟の冬は、気温よりも日照の少なさが家を冷やします
  • 寒さの出どころは、朝の室温・足元の温度・結露の場所などで、工事の前に自分でも確かめられます
  • 工事の規模は、部分・ゾーン・全体の3つから、暮らし方と予算で選びます

新潟の冬は、気温より「日照の少なさ」が家を冷やします

気象庁の平年値(新潟地方気象台、統計期間1991〜2020年)では、新潟市の1月の平均気温は2.5℃、日最高気温の平均は5.3℃です。日中も氷点下のままという寒さではありません。

それでも新潟の家が寒く感じられるのは、日が差さないからです。同じ平年値で、1月の日照時間は56.4時間。12月から2月は、どの月も75時間に届きません。昼間に日差しで家が暖まる時間がほとんどないため、夜のあいだに冷えた床や壁は、日中も冷えたままになります。

結露のもとになる水分の多くは、部屋干しや調理、暖房器具など、家の中で生まれます。その水分が、冷えた窓や壁の隅で水滴になります。雪や雨で部屋干しが増える冬こそ、冷えた面をなくすことが、そのまま結露を減らすことにつながります。積もった雪が窓の下をふさぐと、少ない日差しはいっそう入らなくなります。

つまり新潟の断熱リフォームは、「日差しに頼らず、家の中の熱を逃がさない」ことと、「冷えた面をつくらない」ことの2つが軸になります。屋根雪や水道管の凍結など、冬の備え全体は「新潟の冬の家対策まとめ」にまとめています。

国の基準では、新潟県は2つの区分に分かれます

国の省エネルギー基準は、全国を1〜8の「地域の区分」に分け、区分ごとに断熱性能の基準を決めています。数字が小さいほど寒い地域として扱われ、今の区分では、たとえば長野市や秋田市が4地域、仙台市や宇都宮市が5地域です。

新潟県は、次のように4地域と5地域に分かれています。

地域の区分 新潟県の市町村(2019年11月16日以降の区分)
4地域 小千谷市、十日町市、村上市、魚沼市、南魚沼市、阿賀町、湯沢町、津南町、関川村
5地域 新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、新発田市、加茂市、見附市、燕市、糸魚川市、妙高市、五泉市、上越市、阿賀野市、佐渡市、胎内市、聖籠町、弥彦村、田上町、出雲崎町、刈羽村、粟島浦村

出典:国土交通省「別表1 地域区分(令和元年11月16日以降)」

私たちが伺う範囲(本社のある見附市から車で約1時間)は、すべて5地域です。2019年の見直しの前は、長岡市(旧長岡市など)や加茂市・五泉市・田上町なども4地域でした。古い一覧が載ったままの資料もあるので、確かめるときは国土交通省の今の表をご覧ください。

新築では、この区分ごとに、家全体の熱の逃げにくさ(UA値)の基準が決められています。断熱リフォームのような修繕・模様替えには、この基準に合わせる義務はありません(増築・改築する場合は、2025年4月から、その部分が基準に適合する必要があります)。それでも、どこまで断熱するかを考えるときの目安になります。

工事の前に、寒さの出どころを確かめる

断熱リフォームで遠回りしないために、まず「どこから冷えているのか」を確かめます。ご自分でできる確かめ方を5つ挙げます。現地診断でも、同じ順番で見ていきます。

① 朝いちばんの室温を、部屋ごとに記録する

温度計をリビング・廊下・脱衣室・トイレ・寝室に置き、起きてすぐの室温を見ます。暖房を切っていた夜のあいだに、どの部屋がどこまで下がるかで、熱の逃げやすい場所の見当がつきます。

② 床から10cmと、顔の高さの温度を比べる

同じ部屋でも、足元だけが冷たいことがあります。床から10cmほどの高さと顔の高さで温度を比べ、差が大きければ、床下からの冷えや、床と壁のすき間から入る冷気を疑います。

③ 結露が出る場所を、写真に残す

冬の朝、どの窓に、どの壁の隅に水滴やカビが出ているか。結露はその面が冷えている印なので、断熱が途切れている場所の手がかりになります。

④ すき間風の入り口を探す

コンセントやスイッチのまわり、巾木(床と壁の境目の板)、床下や天井の点検口のまわり。風の強い日に手をかざすと、冷たい空気の入り口が分かることがあります。

⑤ 天井付近と、1階の床付近の差を見る

暖房で暖まった空気は上にたまります。天井付近だけが暖かく、1階の床付近が冷たいなら、床下からの冷えや、壁の中を抜ける空気の流れ(このあと説明する「気流止め」がない状態)を疑います。

手をつけやすい順番は、窓・床と天井・壁

寒さの出どころが分かったら、直す順番を決めます。家の状態によって変わりますが、多くの家では、工事のしやすさと効き目の兼ね合いで次の順番になります。

  • 窓:古いアルミサッシと一枚ガラスの窓は、熱がいちばん出入りしやすい場所です。今ある窓の内側にもう一枚窓を付ける「内窓」なら、壁を壊さずに取り付けられ、住みながらの工事もしやすい方法です
  • 床と天井:足元の冷えの多くは床下から来ます。床下に潜れる家なら、床をはがさずに下から断熱材を入れられることがあります。暖かい空気は上へ逃げるため、天井裏の断熱材のずれやすき間も、あわせて確かめます
  • 壁:壁からも多くの熱が逃げますが、断熱するには内装か外壁をはがす工事になり、規模が大きくなります。内装の張り替えや耐震補強と一緒に行うと、無駄がありません

窓まわりの詳しい話は「窓の断熱リフォーム|内窓・樹脂サッシで結露と寒さを止める」に、浴室・脱衣室の寒さは「ヒートショック対策のリフォーム」にまとめています。

工事の規模は、3つから選びます

断熱リフォームは、「家じゅう全部」か「何もしない」かの二択ではありません。私たちは、暮らし方と予算に合わせて、次の3つから組み立てます。

部分断熱|寒い場所を選んで直す

窓・床・浴室など、寒さの原因になっている場所を選んで断熱します。住みながら工事しやすく、範囲に合わせて費用を調整できます。

気をつけたいのは、断熱した場所としていない場所の境目です。境目に冷えた面が残ると、そこに結露が出ることがあります。どこまでやるかは、換気とあわせて決めます。

ゾーン断熱|普段使う範囲だけを、暖かい区画にする

1階のLDK・水まわり・寝室など、毎日使う範囲だけをひとまとまりの「暖かい区画」として、床・壁・天井・窓を断熱します。子どもが独立して使わなくなった2階の部屋や、物置になっている部屋は、区画の外に出します。

家全体を直すより範囲を絞れるため、広い家や、夫婦二人の暮らしになったお宅に向いています。区画の境目(階段や間仕切りの扉)で冷気を止めるふさぎ方が要になります。

全体断熱|床・壁・天井を開けて、家ごと断熱し直す

内装や外装を外して、家全体の断熱と気密を一からやり直します。耐震補強、配管や配線の更新、間取りの変更と一緒に行うのが基本で、中古住宅を買って全面リノベーションする場合はこの形が多くなります。

断熱リフォームの工事中の室内
断熱材を入れる前の室内(当社の断熱リフォームの現場)

住みながらの工事は難しく、工期も長くなります。私たちが手がけた築50年の家の全面改装は、「築50年の全面改装工事」の連載で、解体から断熱・気密まで工程ごとに記録しています。

部分断熱 ゾーン断熱 全体断熱
範囲 窓・床・浴室など、寒さの原因の場所 毎日使う範囲(例:1階のLDK・水まわり・寝室) 家全体
住みながら しやすい 範囲による 仮住まいが必要なことが多い
向いている家 原因がはっきりしている家 広い家、使わない部屋がある家 耐震補強や間取り変更も必要な家
気をつける点 境目の結露と換気 区画の境目のふさぎ方 工期と仮住まいの段取り

新潟の古い木造住宅で、見落としやすい3つのこと

国の推計では、全国の住宅ストック約5,000万戸のうち、断熱材が入っていないか、1980年(昭和55年)の省エネ基準に満たない住宅が約30%とされています(国土交通省、2018年度時点の推計)。断熱材が入っている家でも、次の3つが抜けていると、思ったほど暖かくなりません。

① 壁の中の「気流止め」

古い木造住宅には、壁の中の上下がふさがれておらず、床下の冷たい空気が壁の中を通って天井裏へ抜けていく家があります。この空気の通り道をふさぐのが「気流止め」です。壁に断熱材が入っていても、ここが開いていると断熱材のまわりを冷気が流れ、効きが落ちます。床や天井の断熱工事のときに、あわせて確かめたい場所です。

② 床下の湿気と防湿

床下の地面からの湿気が多い家で、床の断熱だけを先に行うと、床下の木材が湿ったままになることがあります。地面からの湿気を止める防湿シートや土間コンクリートの状態を、断熱と同時に確かめます。防湿の考え方は「築50年の全面改装工事⑦|基礎工事の防湿フィルムが家の寿命を左右する」で、実際の工事の写真とともに紹介しています。

床下の防湿フィルムの施工
床下に防湿フィルムを施工したところ(築50年の全面改装工事)

③ 増築部分のつなぎ目

古い家ほど、台所や子ども部屋を後から増築していることが多く、元の建物とのつなぎ目で断熱や防水が途切れていることがあります。屋根と外壁のつなぎ目や、床に段差のある場所は、診断で特に注意して見る場所です。

費用は「範囲・開けるか・同時の工事」で決まります

費用は、断熱する「範囲」、壁や床を「開けるかどうか」、耐震補強や配管の更新など「同時に行う工事」の3つで大きく変わります。同じ「床の断熱」でも、床下から施工できる家と、床をはがす必要がある家では、工事の中身がまったく違います。だから私たちは、金額の話の前に、まず床下と天井裏を見せていただいています。見附市での工事内容ごとの考え方は「見附市の中古住宅リフォーム費用」の記事にまとめています。

内窓の取り付けなどの断熱改修は、国や市町村の補助の対象になることがあります。ただし、制度の内容や受付の状況は年度ごとに変わり、工事の契約や着工より前に手続きが必要なものもあります。見附市の制度と国の制度は「見附市のリフォーム補助金まとめ」に整理しています。ほかの市町村の制度も、診断の際に確かめます。

工事のあとに、効果を確かめる

工事の前に記録した「朝の室温」と「床から10cmの温度」を、工事のあとにも同じ場所・同じ時間に測ってみてください。その日の外の気温も一緒に記録しておくと、寒さの違う日どうしでも比べやすくなります。結露の出ていた窓や壁の隅を、同じ時期に写真で見比べるのも確かな方法です。

断熱リフォームを頼む前に、確かめたい5つのこと

見積書の金額を比べる前に、次の点を確かめておくと、工事の中身の違いが見えてきます。

  • 工事の前に、床下と天井裏を見てくれるか
  • どこを断熱して、どこはしないのか。その理由と、境目の結露をどう防ぐかの説明があるか
  • 気流止めと床下の防湿を、どう施工するかの説明があるか
  • 補助金の対象になるかを、申請の時期も含めて確かめてくれるか
  • 工事の前と後で、室温の比べ方を一緒に決めてくれるか

会社の選び方そのものは「見附市のリフォーム会社の選び方」に、見積書の見方とあわせてまとめています。

よくあるご質問

断熱材は、厚いほど暖かくなりますか。

厚さは大事ですが、それだけでは決まりません。断熱材がすき間なく入っているか、壁の中を冷気が抜けていないか(気流止め)、床下の湿気を止めているか(防湿)で、同じ厚さでも効き方が変わります。診断では、厚さと一緒にこの3つを確かめます。

工事の期間は、どのくらいですか。

範囲によって大きく違います。内窓の取り付けや床下からの断熱は短い期間で終わることが多く、床・壁・天井を開ける全体断熱は、仮住まいを含めた長めの計画になります。診断のあとに、工程表でお伝えします。

冬でも工事できますか。

内窓の取り付けや床下からの断熱は、冬でも工事できることが多いです。屋根や外壁を開ける工事は、雪の時期を避けて計画します。寒さを実感している冬のうちに診断を受けて、雪が落ち着いてから工事という進め方もあります。

新潟県のどこが4地域・5地域かは、どこで分かりますか。

国土交通省が公開している地域区分の表で確かめられます(記事の最後の出典をご覧ください)。私たちが伺う範囲は、すべて5地域です。

まとめ

新潟の家の寒さは、気温よりも日照の少なさと、家のどこから熱が逃げているかで決まります。国の基準では新潟県は4地域と5地域に分かれ、私たちが伺う範囲はすべて5地域です。

断熱リフォームは、次の順番で進めると遠回りがありません。

  1. 寒さの出どころを確かめる
  2. 窓、床と天井、壁の順に、手をつけやすい場所から考える
  3. 部分・ゾーン・全体の3つから、暮らし方と予算に合わせて規模を選ぶ
  4. 気流止め・防湿・増築のつなぎ目を見落とさない

株式会社Reafでは、代表の坂上が、床下と天井裏の確認から工事、お引き渡しまで一貫して担当します。無料の現地診断では、寒さの原因と、どこから直すと効くかを、見積の前にお伝えしています。新潟市を含め、本社のある見附市から車で約1時間の範囲に伺います(市町村の一覧は会社概要をご覧ください)。新潟市で中古住宅を買ってリノベーションをお考えの方は「新潟市の中古住宅リノベーション」もご覧ください。「この家、どこまで暖かくなる?」という段階から、どうぞご相談ください。

出典