「親から相続した実家をどうするか」「築40年を超えた家に住み続けるか、建て直すか」。ここ数年、こうしたご相談が見附市・新潟市を中心に増えています。

実はこの「直すか、建て替えるか」の判断は、2023年から2025年にかけて相次いだ法改正で、以前とは前提が変わりました。空き家を放置したときのコストが上がり、リフォーム側の手続きも一部で厳しくなっています。この記事では、まず押さえておきたい法改正のポイントを整理したうえで、リフォームと建て替えをどう判断すればよいか、費用や補助金の目安とあわせて施工会社の立場から解説します。

まず知っておきたい「空き家をめぐる4つの法改正」

1. 改正空家法(2023年12月13日施行)|「管理不全空家」でも固定資産税が最大6倍に

空家等対策特別措置法の改正で、新たに「管理不全空家等」という区分ができました。これまで固定資産税の優遇が外れるのは、倒壊の危険があるような「特定空家等」に指定された場合だけでしたが、改正後は特定空家になる「おそれ」がある段階で市町村から勧告を受けると、翌年度から住宅用地特例が解除されます

住宅用地特例とは、住宅が建っている土地(200㎡以下の部分)の固定資産税の課税標準を6分の1にする制度です。これが外れると、土地の固定資産税は実質的に最大で約6倍になります(都市計画税も3分の1の軽減がなくなります)。

行政の対応は「指導・助言 → 勧告 → 命令 → 行政代執行」と段階的に強まり、勧告の時点で税の優遇が外れる仕組みです。窓が割れたまま、庭木が道路にはみ出したまま、といった「危険とまでは言えないが放置されている」家が対象になりうる点が、改正前との大きな違いです。

2. 相続登記の義務化(2024年4月〜)

相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが義務になりました。正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象です。2024年4月より前に相続した不動産も対象で、こちらは2027年3月末が期限です。「名義が亡くなった祖父のまま」という実家は、リフォームや建て替え、売却のどれを選ぶにしても、まず登記を整理する必要があります。

3. 空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の延長(2027年12月31日まで)

相続した空き家を売却したときの利益から3,000万円を控除できる特例が、2027年12月31日までの譲渡に延長されています。主な要件は、昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた家であること、相続開始から3年目の年末までに売ること、売却代金が1億円以下であることなどです。

2024年からは、買主が引き渡し後(譲渡の翌年2月15日まで)に解体や耐震改修をしても適用できるようになり、古家付き土地のまま売りやすくなりました。相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円になる点は注意が必要です。「住まない・貸さない」なら、この期限内に売るという選択肢も現実的になっています。

4. 建築基準法の改正(2025年4月〜)|大規模リフォームに確認申請が必要に

こちらはリフォーム側に影響する改正です。木造2階建て住宅などで、壁・柱・床・梁・屋根・階段といった主要構造部の一種以上を過半にわたって改修する「大規模の修繕・模様替」を行う場合、建築確認申請が必要になりました(いわゆる4号特例の縮小)。

外壁の塗り替えやクロスの張り替え、キッチン・浴室の入れ替え、屋根のカバー工法といった工事は従来どおり申請不要ですが、骨組みまで手を入れるスケルトンリフォームや、屋根・床を構造材からやり替える工事は、設計図書の作成や審査の期間・費用が上乗せになります。あわせて新築住宅には省エネ基準への適合が義務化されており、「建て替えれば性能は自動的に今の基準を満たす」一方で、「大規模リフォームは手続き面のハードルが上がった」というのが2025年以降の構図です。

リフォームか建て替えか|5つの判断基準

法改正を踏まえたうえで、実際の判断は次の5つの視点で整理すると迷いにくくなります。

1. 建築年と耐震性

1981年5月以前に建築確認を受けた家は「旧耐震基準」です。また木造住宅は、2000年6月に基礎や壁の配置、金物の基準が大きく見直されており、2000年以前の木造住宅は現行基準を満たしていないことが多いのが実情です。旧耐震の家をリフォームで残す場合は耐震補強が前提になり、その費用が100万〜200万円以上かかることも珍しくありません。耐震診断の結果、補強費用が大きくなるなら建て替えのほうが結果的に割安になるケースがあります。

2. 構造部分の状態(基礎・土台・シロアリ・雨漏り)

リフォームで残せるかどうかは、見た目の古さではなく基礎と構造材の状態で決まります。基礎に大きなひび割れがある、土台がシロアリに食われている、雨漏りで小屋裏の梁が腐っている、といった場合は、補修に費用がかかるうえ、工事を始めてから追加工事が発生しやすくなります。床下や小屋裏まで見る建物調査(インスペクション)を先に受けることをおすすめします。

3. 間取りをどこまで変えたいか

水回りの入れ替えや内装の一新であればリフォームで十分です。一方、壁を大きく抜いてLDKを広げたい、吹き抜けを作りたい、2世帯住宅にしたい、といった要望は、耐力壁や柱の位置に制約を受けます。構造上残さなければならない壁や柱が多く、希望の間取りに近づかないなら、建て替えを検討する段階です。

4. 断熱性能|新潟の冬をどう過ごすか

築30〜40年の家は断熱材がほとんど入っていない、または窓が単板ガラスのアルミサッシというケースが大半です。リフォームでも窓交換や天井・床の断熱で体感はかなり変わりますが、壁の断熱まで一から入れ直すとなると費用が大きく膨らみます。新築であれば、断熱性能(UA値)や気密性能(C値)を数値で設計・確認できます。光熱費と健康面への影響が大きい新潟では、ここを重視される方が増えています。

5. 法的な制限(再建築不可・セットバック)

敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していない土地は、原則として建て替えができません(再建築不可)。この場合はリフォームで維持するか、隣地との調整や売却を考えることになります。また、前面道路が4m未満の場合は、建て替え時に道路の中心から2m後退(セットバック)する必要があり、その分だけ建てられる面積が減ります。古い住宅地では意外と多いので、判断の前に必ず確認しましょう。

費用と工期の目安|フルリフォームと建て替えの比較

項目 フルリフォーム(スケルトン) 建て替え
工事費用の目安 1,500万〜3,000万円 2,500万〜5,000万円(別途、解体費150万〜250万円程度)
工期の目安 1〜4.5か月 4〜8か月(解体・確認申請を含む)
工事後に期待できる期間 30〜40年程度 50年以上(メンテナンス次第)
耐震・断熱性能 補強の範囲で改善 現行基準を満たす設計が可能
手続き 大規模なものは確認申請が必要(2025年〜) 確認申請・省エネ基準適合が必須
ローン・税制 リフォームローンは期間が短め 住宅ローン・減税制度が使いやすい

金額はあくまで一般的な目安で、建物の規模や仕様、地盤の状態で大きく変わります。ポイントは「工事費の総額」だけでなく、工事後30年間の光熱費・修繕費・固定資産税まで含めた総コストで比べることです。リフォームは初期費用を抑えられる反面、数年後に別の箇所の修繕が必要になることが多く、結果として建て替えと総額が変わらなかった、というご相談もよくあります。

いちばん損をするのは「決めずに放置する」こと

今回の法改正で共通しているのは、空き家を持ち続けるコストが確実に上がっているということです。管理不全空家の勧告を受ければ固定資産税が跳ね上がり、相続登記を放置すれば過料の対象になり、売却の特例には期限があります。さらに、家は空けておくほど傷みが早く、雨漏りやシロアリで「リフォームで残す」という選択肢そのものが失われていきます。

「住む」「貸す」「売る」「建て替える」「解体して土地として活用する」のどれを選ぶにしても、まず建物の現状を把握し、期限のある制度を確認して、早めに方向を決めることが最終的な負担を小さくします。

使える補助金|解体・リフォームともに「着工前の申請」が条件

新潟県内の多くの市町村には、老朽化した空き家の解体費用に対する補助制度があります。上限額は自治体によって30万〜160万円程度と幅があり、年度ごとに予算枠が決まっているため、早い時期に受付が終了することもあります。また、耐震改修や断熱改修、子育て世帯の住み替えなどを対象にしたリフォーム補助、国の住宅省エネ関連の補助事業も活用できる場合があります。

いずれの制度も「工事契約・着工の前に申請し、交付決定を受けること」が原則です。先に解体業者やリフォーム会社と契約してしまうと対象外になりますので、計画の初期段階で自治体の窓口か施工会社に確認してください。制度の内容は年度で変わりますので、最新情報はお住まいの市町村のホームページでご確認ください。

まとめ|判断の順番は「登記の確認 → 建物調査 → 費用比較」

相続した実家や築年数の古い家について迷ったら、次の順番で進めるのがおすすめです。

  1. 登記名義と敷地の接道状況(再建築できるか)を確認する
  2. 耐震診断・インスペクションで基礎や構造材の状態を把握する
  3. リフォーム案と建て替え案の両方で、30年間の総コストを比べる
  4. 使える補助金と税制の期限を確認し、着工前に申請する

株式会社Reafでは、見附市・新潟市を中心に、中古住宅のリフォームから建て替え・新築まで一貫してご相談をお受けしています。「リフォームで残せるのか、建て替えたほうがいいのか」を、建物調査の結果と費用の比較をもとに、どちらか一方に偏らずご提案します。空き家や実家の扱いにお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

※本記事の法制度・税制の内容は2026年8月時点の情報です。適用要件や補助金額は変更されることがありますので、最新情報は国土交通省・国税庁・各市町村の公式サイトでご確認ください。